固定資産税とは、不動産や償却資産などの固定資産の所有者に対して、毎年4月頃に課税される税金です。
この税金は、市町村(東京は都)が課税の対象となり、各自治体によって異なる税率が適用されます。
固定資産税は、固定資産を所有している限り課税され、その額は所有する固定資産によって差があります。
しかし、固定資産税には免税や減税の制度が存在します。
この記事では、固定資産税の概要と免税・減税の条件、節税方法について詳しく解説します。
記事を最後まで読んでいただければ、固定資産税を節税する方法を理解することができるでしょう。
固定資産税とは何か

固定資産税は、毎年1月1日現在の不動産や償却資産などの所有者に対して、毎年4月頃に課税される税金です。
課税された固定資産税は、一括払いか年4回の分割払いのいずれかを選択することができます。
また、現金、クレジットカード、電子マネーなど、様々な支払い方法が用意されています。
固定資産税の課税者は、市町村(東京都は都)であり、標準税率は1.4%です。
ただし、各自治体は税率を1.4%を上回らない範囲内で独自に決定します。
そのため、自治体によって異なる1.5%や1.6%の税率が存在します。
固定資産税が免税になる条件とは
固定資産税には、一定の条件を満たすと免税される制度があります。
以下に、免税になる条件を3つ紹介します。
固定資産税課税標準額が免税点未満の場合 固定資産税は、固定資産税課税標準額が一定未満の場合には免税されます。
ただし、免税点は固定資産税額ではなく、固定資産税額課税標準額で判断されることに注意が必要です。
また、免税の判断は同一の市町村にある固定資産の合計課税標準額で行われるため、注意が必要です。
固定資産税が減税になる条件
住宅用地の特例 固定資産税は、免税の他に減税制度が設けられています。
この節では、固定資産税が減税される条件を6つ紹介します。
1. 住宅用地の特例: 住宅地に建てられた土地は、住宅用地の特例を利用することができます。
土地の面積に応じて、固定資産税の減税幅が定められています。
ただし、専用住宅ではなく店舗併用住宅の場合、店舗の規模によって固定資産税の減税幅が変動します。
店舗併用住宅の場合でも、一部を住宅として利用している場合には、住宅用地の特例を適用することができます。
2. 売却・譲渡を機に減税: 固定資産を売却または譲渡する際、税金の支払いを軽減するために、固定資産税の減税制度が適用されることがあります。
ただし、具体的な条件については自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。
3. 10年を経過すると減税: 固定資産を所有してから10年を経過すると、固定資産税の減税の対象となることがあります。
この制度は「固定資産税の軽減特例」と呼ばれており、長期間にわたり所有している場合に利益を享受することができます。
4. 固定資産の改築や補修による減税: 固定資産を改築や補修した場合、固定資産税の減税が認められることがあります。
具体的な減税幅や条件は自治体によって異なるため、改築や補修を検討する際には予め市町村役場などへ相談することをおすすめします。
5. 小規模宅地の固定資産税減税制度: 小規模な宅地(土地の面積が一定以下)を所有している場合、固定資産税の減税が認められる制度があります。
ただし、具体的な条件や減税幅は自治体によって異なるため、事前に確認する必要があります。
6. 基準税額の減額制度: 基準税額の減額制度は、特別の理由を持つ者に対して、固定資産税の減税を実施する制度です。
具体的な対象者や条件は自治体によって異なるため、事前に申請などが必要です。
以上が、固定資産税が減税される条件の一部です。
具体的な減税制度や条件については、所在地の市町村役場などに問い合わせることをおすすめします。
新築住宅を取得した場合
新たに建築された住宅を購入した場合、一定期間の間は固定資産税が減額されます。
ただし、減額される年数は取得した住宅によって異なります。
下記の表には、新築住宅ごとの固定資産税減額年数の違いが示されています。
ただし、この減額措置は2024年3月31日までに建築された住宅にのみ適用されます。
また、店舗兼住宅を建築した場合、固定資産税が半額になるのは、住居部分の床面積が店舗部分の床面積の2分の1以上の場合に限ります。
空き家を撤去した場合
建物が1年以上空き家状態である場合、その建物を解体すると、住宅用地の特例と同じ減税措置が適用されます。
減税措置を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
・建物が1年以上空き家状態であること ・解体する建物が空き家特別措置法によって指定されていないこと ・解体が2018年1月2日から2023年3月末までの期間内に行われること ・解体する土地が空き家バンクに登録されていること
省エネ改修を行った場合
一定の条件を満たす省エネ改修を行うと、改修した建物の1年間の固定資産税が1/3になります。
ただし、固定資産税が1/3に減免されるのは、改修した建物の面積が120平方メートル以下の場合に限られます。
また、改修工事は令和4年3月31日までに実施する必要があります。
省エネ改修の固定資産税減税を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
固定資産税の減税条件
被災時の固定資産税の減税を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 賃貸物件ではないこと:減税の対象は、賃貸アパートや賃貸マンションなどの賃貸物件ではなく、所有している住宅に限定されます。
2. 平成20年1月1日以前に存在していること:減税を受けるためには、平成20年1月1日以前に建築された住宅である必要があります。
3. 床面積が50㎡以上280㎡以下であること:工事後の住宅の床面積が50㎡以上280㎡以下である場合に、減税の対象となります。
4. 家屋床面積の2分の1以上が住宅専用の住宅であること:改修工事後の家屋の床面積の2分の1以上が住宅専用とされている場合、減税の対象となります。
5. 省エネ改修工事が特定の要件を満たすこと:省エネ改修工事が窓や床、天井、壁の断熱改修工事を含む場合、かつこれらの改修工事が平成25年の省エネ基準に適合している場合に、減税の対象となります。
6. 省エネ改修工事費が50万円を超えていること:省エネ改修工事にかかる費用が50万円を超えている場合、減税の対象となります。
被災により固定資産が破損した場合、全壊などはなかったとしても、固定資産税の減税が認められるケースがあります。
以上の条件を満たす場合、被災時の固定資産税を減税することが可能です。
生活困難者への固定資産税減額の条件
生活が困難な人が固定資産を所有している場合、固定資産税は減税される場合があります。
以下の条件に該当すると、固定資産税が半額になります。
1.土地に関しては、損害が10分の6以上10分の8未満である場合、減額率は8割です。
つまり、被災した土地の価値が80%減少します。
2.家屋に関しては、主要構造部分が相当損傷して大修理が必要な場合、被災した家屋価格の10分の6以上の価値がなくなった場合、減額率は8割です。
3. 屋根や内壁、外壁、建具などに損傷を受けて居住や使用に相当な支障が生じた場合、被災した家屋の価格の10分の4以上の価値がなくなった場合、減額率は6割です。
4. 下壁や畳などに損傷を受けて居住や使用に支障が生じ、修理や取替を必要な場合、被災した家屋価格の10分の2以上の価値がなくなった場合、減額率は4割です。
5. 下壁や畳などに損傷を受けて居住や使用に支障が生じ、修理や取替を必要な場合、被災した家屋価格の10分の1以上の価値がなくなった場合、減額率は2割です。
なお、これらの減額率は生活が困難な人に限らず、一般の所有者にも適用されます。
生活困難者にはさらに固定資産税減税の特例があることもありますので、詳細は地方自治体にお問い合わせください。
固定資産税を節税する方法3つ
固定資産税には免税や減税を受けることができる制度がありますが、その利用条件は限られています。
以下に、一般的な条件で固定資産税を節税する方法を3つ紹介します。
1. 新築住宅を建築する 一定条件の住宅を建築すると、建物の固定資産税が一定期間半額になります。
新築住宅を建築するだけでも、3年間の固定資産税が半額になります。
さらに、認定長期優良住宅と認定された場合は、5年間の固定資産税が半額になります。
ただし、この減税措置は期限があり、2024年3月31日までに建築された住宅にのみ適用されます。
2. 土地面積200㎡以下の敷地の住宅を取得する 固定資産税は、土地に住宅が建っている場合には土地の固定資産税が減額されます。
ただし、住宅の敷地が200㎡を超えると、減税額は縮小されてしまいます。
そのため、固定資産税の減税措置を最大限に活かすためには、土地の面積が200㎡以下の敷地に建つ住宅を取得する必要があります。
3. 省エネ改修工事を行う 固定資産税は、一定の条件を満たす省エネリフォームを行った場合にも減税が受けられます。
具体的な内容は自治体によって異なりますが、一般的にはエネルギー効率の改善や省エネ設備の導入などが該当します。
この場合、固定資産税は通常の税金の1/3になることが多いです。
以上、固定資産税を節税するための3つの方法をご紹介しました。
節税の方法は個人や物件の状況によって異なるため、具体的な利用条件や手続きについては、所轄の自治体にお問い合わせいただくことをおすすめします。
中古不動産を購入する際には、省エネ改修工事を行うことがおすすめ
中古の不動産を購入して、リフォームする場合には、通常のリフォーム作業に加えて省エネ改修工事を行うことをおすすめします。
なぜなら、省エネ改修工事を行うことで、不動産のエネルギー効率を向上させ、光熱費の削減や環境にも配慮した暮らしができるからです。
ただし、注意点として、購入する建物が120㎡を超える場合には、固定資産税の面で注意が必要です。
なぜなら、固定資産税が建物の120㎡までの部分に対して1/3になる制度があるためです。
したがって、120㎡を超える建物を購入する場合には、固定資産税の負担が大きくなる可能性があるということです。
固定資産税の負担が大変であれば売却
固定資産税の負担が大きくなって支払いが大変だと感じているのであれば、その不動産を売却してしまうことも得策です。
特にタワーマンションだと毎月の管理費・修繕積立金の額も高額になり、さらに住宅ローンの支払いもあると月々かなりの金額になってきます。
せっかく手に入れた不動産を売却するのは断腸の思いだと思いますが、考え方を変えると売れるうちに売ってしまった方が手残りもあるし、月々の支払からも解放されます。改めて時期が来たら購入することも一つの手だと思います。
幸いに名古屋市のタワーマンション事情は、リニアモーターカー開業の影響もあり地価は上昇傾向でありますし、都心のタワーマンションは値崩れしていません。
名古屋市でタワーマンションを売却するのであれば、この記事をご参照ください。
まとめ
中古の不動産を購入し、リフォームする際には、省エネ改修工事を行うことで快適な住環境を実現することができますが、固定資産税の面では注意が必要です。