借地権とは、土地の所有者から土地を借りて、自分の建物を建てることができる権利を指します。
つまり、土地の所有者が建物を所有することなく、土地を借り手に貸し出すことで、借地権が成立します。
借地権にはいくつかの特徴があります。
まず、借地契約の期間が設定されており、一定の期間、通常は数十年から数百年にわたって土地を借りることができます。
この期間は、土地の所有者と借地権者との合意に基づいて決定されます。
借地権とは
借地権とは、建物を所有するための権利であり、土地の賃借権や地上権とも呼ばれます。
具体的には、建物を建てるために、地主から土地を借りることができる権利です。
なお、この権利を行使するには、建物を所有することが前提となりますので、建物が建っていない土地には借地権を設定することはできません。
例えば、マイホームを購入する際には、土地と建物を一緒に購入することがありますが、借地権を活用すれば、土地の所有者である地主に対して一定の期間ごとに地代を支払うことで、土地を借り入れることができます。
このように借地権を利用することで、土地の購入費用を抑えることができる場合があります。
土地の借地権とは、土地を借りることを指します。
借地権は「地上権」と「賃借権」に分けられます。
地上権は、他人の土地を利用する権利のことです。
地主の承諾なしに土地を貸したり、土地に建っている建物を売却することができます。
つまり、地上権を持っている人は、土地を自由に使用することができます。
一方、賃借権は、賃貸借契約において借主が得る権利です。
賃借権では、土地の所有者から許可を得ない限り、建物の建て替えや売却はできません。
賃借権は、土地の所有者にとって不利な条件が多いため、借地権としては、賃借権の方が一般的です。
借地権について知りたい方や、借地権付きの建物を購入や売却を検討している方に、借地権の特徴や種類、さらには借地権付きの物件の購入時のメリットや注意点について解説していきます。
借地権の種類
借地権には「借地法」と「借地借家法」という2つの種類があります。
これらの法律は、1992年8月1日に施行された「借地借家法」が新しい法律であり、それ以前の法律は「借地法」と呼ばれています。
そして、借地権の契約を交わした日付が1992年8月1日より前か以後かによって、旧法か新法かが適用されることになります。
以下では、旧法と新法の違いについて詳しく説明します。
旧法の借地権では、土地の利用に関しては借地人に一定の制約がありました。
例えば、土地の一部または全部の利用目的の変更や、土地の転貸・貸付けなどは借地人による自由な判断や行動が制限されていました。
また、借地期間の更新も契約によって制限されていました。
一方、新法の借地権では、借地人に対してより多くの利用の自由が与えられています。
新法では、借地人は土地の利用目的を一定範囲内で自由に変更することができます。
また、土地の転貸や貸付けも制限なく行うことができます。
さらに、借地期間の更新についても、原則として制限がありません。
新法による借地権では、借地人の利益や権利がより重視されています。
借地人はより自由に土地を活用することができるため、経済的な利益や発展の機会を得ることが期待されています。
ただし、新法には一定の制約もあります。
例えば、土地利用の変更や転貸・貸付けに際しては、周囲の状況や公共の利益に配慮しなければなりません。
また、借地期間の更新についても、原則として改善などの条件が付されることがあります。
いずれにしても、借地権の契約を締結する際には、明確な法的な規定や契約の内容を確認することが重要です。
借地権は土地の利用に関わる重要な権利ですので、自身の権利を守るためにも、専門家の助言や契約書の内容の確認を行うことをおすすめします。
借地法(旧法)
借地法は、1992年7月31日以前に結ばれた土地の借地権契約に適用されます。
借地契約の期間は、契約時に期間が指定されているかどうか、またその土地に建てられた建物の構造によって異なります。
主な契約期間は以下の通りです。
1. 期間の指定ありの場合
契約時の場合、非堅固建物は20年以上、堅固建物は30年以上の期間となります。
更新時の場合、非堅固建物は20年以上、堅固建物は30年以上の期間となります。
2. 期間の指定なしの場合
契約時の場合、非堅固建物は30年、堅固建物は60年の期間となります。
更新時の場合、非堅固建物は20年、堅固建物は30年の期間となります。
非堅固建物とは、一般的に木造の建物を指し、堅固建物とは鉄骨造や鉄筋コンクリート造などを指します。
特に期間の指定がない場合、上記のように契約期間が設定されていますが、地主と合意があれば、更新することで契約期間を延長することができます。
借地法では、借地人の保護が重視されており、正当な理由がない限り、地主は更新を拒否することはできませんでした。
そのため、土地が地主に返還されなかったり、トラブルが発生するケースが多くなりました。
これを改善するために、借地法は改正されました。
借地借家法(新法)
借地借家法は、借地人の過度な保護を解消するために改正され、1992年8月に施行されました。
この法律では、借地権を「普通借地権」と「定期借地権」の二つの種類に分類しています。
普通借地権
一般的な借地権では、建物の構造に基づく契約期間の違いはなくなっています。
建物が木造であるか、鉄骨であるかに関係なく、同じ取り扱いとされています。
また、借地権は更新することで契約期間を延長することができます。
地主は一方的に契約を解除することはできません。
借地権の存続期間は通常30年ですが、合意があれば更新することで更に契約期間を延ばすことができます。
最初の更新では20年間、2回目以降の更新では10年間となります。
このように、借地権は地主と借地人の間で合意のもとで延長される長期の契約です。
定期借地権
定期借地権は、古い法律では地主が土地を返還する義務がなかった問題を解決するために改訂されました。
この制度では、契約期間の終了後に土地を元の状態に戻し、地主に返却する義務が課せられます。
定期借地権には、いくつかの種類があります。
まず、一般的な定期借地権は、使用目的に制約がなく、50年以上の期間の契約が結ばれます。
次に、事業用定期借地権では、土地を事業目的で借りる場合に10年以上50年未満の契約が結ばれます。
最後に、建物譲渡特約付借地権では、30年以上の契約期間の後に、地主が建物を買い取ることが予め約束されています。
これら3つの借地権は、更新がないという特徴があります。
この制度は、旧法の問題点を解決するために導入されました。
旧法では、地主は正当な理由がなければ更新を拒否することができず、そのため地主のリスクが大きかったのです。
定期借地権では、更新がないため、地主も安心して取引できます。
なお、通常の普通借地権には、更新の可能性がある点に留意してください。
詳細については、国土交通省のウェブサイトをご参照ください。
借地権付きの物件を購入するメリット
借地権付きの物件は、土地を所有せずに建物だけを所有することができる物件です。
土地の所有費用を抑えることができるため、購入費用を低く抑えることができます。
また、借地権付きの物件では、通常の不動産物件よりも購入費用が安い傾向にあります。
さらに、借地権付きの物件は購入後も月々の支払い負担が軽いというメリットがあります。
長期間土地を借りることができる
借地権にはさまざまな種類があります。
その中には、定期借地権のように更新ができないものもありますが、旧法や新法の普通借地権のように更新が認められるものもあります。
旧法や新法の普通借地権では、最初に契約した期間の終了後も、地主との合意に基づいて更新することができます。
この場合、借地権の存続期間は通常20年または30年以上に設定されています。
しかし、地主との合意によって更新することで、半永久的に土地を借り続けて建物を維持することも可能です。
つまり、借地権が終了することなく、永久に土地を利用することができるのです。
このような取り決めは、借地権の一部として契約に盛り込まれますが、地主の承諾が必要です。
借地権を持つことで、土地の所有権を持たなくても、建物や施設を建てることができます。
それによって、一定期間または永続的に土地を利用することができるため、土地を効率的に活用することができるメリットがあります。
借地権は、建物を所有することとは別に、土地の利用権を持つことを意味します。
借地権は、土地利用において利便性や経済的なメリットを提供するため、さまざまな形態で存在します。
それぞれの借地権には、更新可能期間や条件が異なるため、契約を行う際には注意が必要です。
地主との合意や契約書の内容をよく確認し、借地権を最大限に活用することが重要です。
税金がかからない
土地を購入する際には、不動産取得税と呼ばれる税金が発生します。
また、所有している土地には固定資産税や都市計画税といった税金を納付する必要があります。
しかし、借地権の場合は、土地の所有権を持っている地主がこれらの税金を納付しなければならないため、借地人はこれらの税金を払う必要はありません。
ただし、建物に対する税金は借地人に納付する義務があります。
つまり、借地で土地を利用している場合は、多くの税金負担を軽減することができます。
借地権付きの物件を購入する際の注意点
「借地権付きの家は買ってしまっても問題はないのでしょうか?」と思い悩んでいる方もいるのではないでしょうか?しかし、この点に関しては気を付けるべき点を把握し、メリットとデメリットを具体的に比較し検討することで、新たな住まいの選択肢が広がるかもしれません。
以下では、借地権付きの物件を購入する際の留意点について詳しく見ていきましょう。
地代が発生してしまう
一つの注意事項は、地代を支払わなければならないことです。
土地を借りている借地権付きの物件では、土地所有に関連する税金がかからない一方で、地主に対して毎月の賃料として地代を支払う必要があります。
地代の相場は、住宅用の場合は土地価格の2〜3%程度であり、店舗や事業用の場合は土地価格の4〜5%程度です。
また、借地契約の期間によっては、結果的に土地を購入するよりも費用がかかることもあります。
さらに、土地の価値が上がると、地代も上がる場合があるため、注意が必要です。
土地を自由にできない
土地の所有権と建物の所有権が別々に存在する、借地権付きの物件では、土地の利用に対する自由が制限されます。
例えば、自分の名義の建物を借地に建てたとしても、無断で売却することはできませんし、建物を建て替える際にも、事前に地主に相談する必要があります。
地主の許可を得れば売却や建て替えができることもありますが、その場合には承諾料を支払う必要がありますので、注意が必要です。
ただし、地上権などの借地権自体の種類によっては、地主の許可を得ずに売却することができる場合もあります。
ただし、地主にとって利益が少なくなるため、地上権が設定されるケースは少ない傾向にあります。
更新料が必要な場合がある
先ほど説明したように、新法の借地権契約は、地主との合意のもとに更新することができます。
しかし、更新時には更新料が必要な場合があります。
法的には、更新の際に更新料を支払う義務は存在しません。
ただし、地主との契約書において、更新料に関する規定がある場合は、支払いが義務づけられることになります。
ですから、契約書を事前に注意深く確認することが非常に重要です。
地主が土地を売却したらどうなる?
借りている土地で、地主が何らかの理由で他の人に売却する場合があります。
もし自分が借りている土地が売られてしまったら、借地権はどうなるのか気になるかもしれません。
もし土地が売られ、新しい地主ができた場合、自分の借地権を主張することを「対抗」と言います。
借地権付き建物とは?メリットやデメリット!売却は可能? もご覧ください。
対抗するためには特定の要件が必要です。
まず、「建物があること」「借り主の登記がされていること」という条件を満たしていれば、新しい地主に土地を明け渡す必要はありません。
次に、新しい地主に借地権を主張するためには、地上権や借地権の登記が必要です。
しかし、地主の協力が得られず、登記がされていない場合もあります。
そのような場合は、借りている土地に建てられた建物を登記することで借地権の対抗が認められます。
ただし、借り主と建物の名義が異なる場合は対抗できませんので、注意が必要です。
例えば、借り主のままで建物を建て替え、建物の登記も後継者の名義になっている場合、借地権の対抗は認められません。
また、借りている土地に建物がない場合は、借地権を主張できませんが、火災や地震などの不可抗力で建物を失ってしまった場合には、対抗する方法があります。
具体的には、土地上の建物を特定できる事項、建物が失われた日、再建築する意志を示した看板などを掲示することで、2年間は第三者に対抗することができます。
借地権付きの物件は相続できる?
借地権とは、土地を借りる権利であり、借主の相続財産となります。
もし借地権付きの物件が相続された場合、法定相続人であれば特別な手続きや地主の許可を求める必要はありません。
ただし、法定相続人以外が相続する場合は、地主の承諾を得る必要があります。
また、この場合、承諾料が発生する可能性もあります。
これは、相続を第三者に譲渡することと同じように考えられるためです。
また、法定相続人であっても、相続した物件を改築したり建て替えたりする際には、地主の承諾が必要となることにも留意してください。
兄弟姉妹で相続することもできる
借地権付きの不動産を相続する場合、兄弟姉妹など複数の相続人によって共同で相続することも可能です。
ただし、借地権を複数の相続人で共有すると、将来的にトラブルが生じる可能性があるため、注意が必要です。
例えば、相続した不動産を売却したり、建て替えたりする場合には、全ての相続人の合意が必要となります。
例えば、3人兄弟で相続した場合でも、そのうちの1人が亡くなり、その後で亡くなった方の家族が相続すると、相続者の人数や世代が変わり、合意を得ることがますます難しくなることもあります。
また、相続後も地代や建物にかかる税金などの支払い義務が発生しますが、複数の相続人のうちの誰か1人がこれらを支払わない可能性もあるのです。
ですので、借地権付きの不動産は複数の相続人で相続することができますが、将来的なトラブルを避けるためには、個々で相続する方が、管理や売却などがよりスムーズに進められることを注意しましょう。
相続放棄も可能
もしも借地権付きの物件を相続したくなくて、相続放棄をしたい場合、相続を受けることを拒否する手続きを行うことができます。
この場合、民法に基づき、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、管轄の家庭裁判所で手続きをしなければなりません。
ただし、相続放棄が認められた場合、借地権だけを放棄することはできず、他の全ての財産も相続できなくなりますので、その点にはご注意ください。
まとめ
このように、私たちはこれまでに借地権という概念について解説してきました。
借地権を持つ物件にはメリットもありますが、注意が必要なポイントも存在します。
たとえば、借地権付きの物件は割安に感じられることがありますが、最終的にどちらが得になるかは、その土地をどの程度利用するかによって変動します。
さらに、借地権は様々な種類があり、条件も異なるため、予め確認しておくことが重要です。
現在、借地権付きの住宅に住み替えを考えている方や、借地権付きの物件を売却したいと思っている方もいるかもしれません。
借地権付きの住宅を売却する場合は、地主と相談し、承諾を得る必要があります。
また、借地権付きの物件を購入する際には、前述した注意点を把握した上で、慎重に検討しましょう。