路線価は相続税や固定資産税の計算根拠
路線価は毎年1月1日時点での土地評価額を示し、道路に値段をつけることで隣接する土地の価格を算出します。
相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があり、相続税路線価は時価の8割程度、固定資産税路線価は時価の7割程度が目安とされています。
一方、公示価格は市場での土地売買価格を基準に決められ、不動産鑑定士などの専門家によって毎年評価されています。
公示価格と路線価は目的や表示される金額が異なるため、注意が必要です。
路線価の調べ方については後述します。
国税庁のホームページから路線価を調べる方法
国税庁が公表している路線価を知りたい場合は、国税庁のホームページを利用することができます。
まず、ホームページにアクセスし、「路線価図・評価倍率表」というページを開きます。
すると、日本地図が表示されますので、土地がある都道府県を選択してください。
その後、順番に「路線価図」→「市区町村」→「地名」と選択していくと、該当する地域の地図が表示されます。
路線価の確認方法とその計算
具体的な土地の路線価を調べるためには、土地が面する道路に表示されている数字とアルファベットを確認する必要があります。
たとえば、「500d」という表示がある場合、この数字が路線価を示しています。
この場合、1平方メートルあたりの路線価は500,000円となります。
土地の相続税評価額を計算するためには、路線価に土地の広さをかけます。
例えば、土地の広さが200平方メートルであれば、土地の相続税評価額は500,000円 × 200で計算することができます。
結果として、この土地の相続税評価額は1億円となるわけです。
なお、先ほどの路線価の表示には、数字の後ろにアルファベットがついています。
これは借地権割合を示すものであり、土地を借りている人や土地の所有者にとって重要な情報です。
関係のない人にとっても、その存在は意識しておきましょう。
土地の評価における複数の要素
ただし、土地が複数の道路に面している場合や、土地の形がいびつである場合など、単純に路線価と土地の広さだけで評価することはできません。
利用価値や形状の影響など、土地の特徴や状況にも注意を払う必要があります。
相続税評価額を正確に求めるためには、専門家に相談することをおすすめします。
土地の特徴による評価の補正
角地や正面と裏面の両方が道路に面している土地は、一般的に利用価値が高いとされています。
そのため、相続税評価額を算出する際には、土地が面する路線価のうち最も高いものを正面路線価とし、他の路線価を側方路線価あるいは裏面路線価として考慮します。
これにより、正面だけ道路に面している土地よりも評価額が高くなります。
また、土地の奥行が極端に長い場合や短い場合も、利用価値が制限されるため、評価額に補正を加えます。
奥行が長い土地では、その奥の部分が利用しにくくなるため、評価額が低くなります。
逆に、奥行が短い場合も同様に利用価値が低くなるため、評価額を下げます。
また、間口が狭い土地や形がいびつな土地についても、利用価値の制限があるため、評価額に補正を加えます。
間口が狭い土地では、用途が制限されることから評価額が低くなります。
形がいびつな土地では、土地の一部が利用できないことや様々な用途への利用が制限されることが考慮されます。
ただし、形がいびつな場合の補正計算は、実際の土地の形と整形地の比率に基づいて行われます。
また、土地の一部が崖になっている場合も、通常の用途に用いることが難しいと考えられます。
そのため、評価額には補正が加えられます。
土地の評価額を下げるための崖地補正率の計算方法
土地が崖を含む場合、その土地の評価額を下げるためには、崖地補正率を用いた計算を行います。
具体的な計算方法としては、「路線価÷0.8」または「路線価×1.25」などがあります。
例えば、相続税の評価額が1億円とされた土地であれば、その土地の公示価格は1億円×1.25=1億2,500万円となります。
ただし、この計算方法で得られる価格はあくまで土地の想定価格であり、正確な公示価格とは異なります。
より正確な土地の時価を知るためには、その土地の公示価格や基準地価を調べる必要があります。
不動産の時価とは
不動産の時価とは、一般的にどのように決まるのでしょうか。
不動産鑑定の指針である「不動産鑑定評価基準」によると、公的な規制や制限が影響せず、市場価値が形成される状況での価格を指します。
この価格を正常価格と呼び、時価として扱われます。
売却や購入の意思がなく、市場に動きがない場合には、土地の時価は分かりません。
不動産の売買は売り手と買い手の合意がなければ成立しないため、価格が形成されないのです。
売り手が多くの購入希望者を持っている場合には、土地の所有者は価格を引き上げる必要があります。
逆に、所有者が売却したいと思っていても、需要がなければ価格を引き下げるしかありません。
このように売り手と買い手の思惑が一致して売買が成立することで、土地の時価が形成されていくのです。
公示価格と時価の関係
土地の時価は、実際の取引によって形成されます。
では、国土交通省が公表する公示価格は、時価とどのような関係にあるのでしょうか。
公示価格は、土地の時価を参考にして決められるものであり、一般には時価に近い価格と言えます。
ただし、公示価格は基準地価や市場の状況などによって決まるため、必ずしも正確な時価とは一致しない場合もあります。
公示価格は、土地の評価や取引の参考情報として利用されることが多く、不動産の時価を正確に知るためには、より詳細な情報を調査する必要があります。
公示価格と基準地価の調べ方
公示価格や基準地価を調べる方法は、国土交通省のホームページで簡単に行うことができます。
まず、国土交通省の「土地総合情報システム」というページを開きます。
そこには「標準地や基準地の価格をご覧になりたい方へ」というリンクがありますので、そこをクリックしてください。
すると、日本地図が表示されます。
この地図上で、都道府県から始まり、市区町村の順番に進んでいきます。
その後に、調査年や用途区分などの検索条件を指定します。
そして、検索ボタンをクリックすると、指定された市町村内の標準地や基準地の価格が表示されます。
初めは表の形式で表示されますが、価格や土地の面積、利用区分を比較する際に便利です。
ただし、場所のイメージを掴むには少し難しいので、特に気になる場所の価格を確認する際にはそれほど適していません。
地図で周辺の地価を確認する方法
もしも地価を確認したい場合は、「地図で確認する」リンクをクリックしてみてください。
クリックすると、その場所周辺の地図が表示されます。
この地図を見ることによって、周辺の標準地や基準地の価格を一目で確認することができます。
標準地や基準地の地点は、オレンジや黄色、ピンクの色で表示されています。
また、その地点をクリックすることで、その地点の詳細な情報を確認することも可能です。
さらに、取引価格も調べることができます。
土地の取引価格を調べる方法
先ほどご紹介した「土地総合情報システム」では、過去に行われた実際の取引価格も調べることができます。
まず、トップページから「不動産取引価格情報検索」をクリックすると、日本地図が表示されます。
そして、調べたい都道府県を選択します。
左側には、取引の時期や市区町村などの条件を指定する表示があります。
条件を指定し、検索を行うと、その地域で行われた取引の価格が表示されます。
特定の土地の価格を特定することはできませんが、広さや形状、前面道路などのある程度の情報が掲載されており、実際の取引価格を知りたい場合には参考になります。
簿価と時価の違い
土地を購入した際の価格を「簿価」と言います。
具体的には、土地を購入した時の価格を帳簿に記録するために帳簿価格と呼んでいます。
例えば、会社が決算書に記載している土地の価格が、「簿価」となります。
これは、土地を購入した際の実際の価格です。
しかし、100年以上前に購入した土地が決算書上では数万円や数十万円という金額で記載されている一方で、実際には数億円という「時価」となる場合もあります。
つまり、簿価と時価は異なる概念であり、土地の価格の見積もりや評価の方法が異なることを意味します。
土地を売却した際の税金の計算方法
土地を売却する際には、必ず税金がかかるわけではありません。
実際にかかる税金は、「売却価格-簿価」の計算を行い、売却により得た利益に対して課税されます。
また、土地を売却する際には、仲介手数料や測量費、土壌改良費などの費用も発生するかもしれません。
これらの費用は、売却収入から差し引くことができます。
つまり、売却益から費用を差し引いた金額が実際に課税される利益となります。
課税対象となる利益は実際の利益の一部
所得税を納める際に計算する売却益と呼ばれるものは、実際の利益の一部に相当する金額です。
売却益を求めるためには、購入した時の価格である簿価を知っていることが重要です。
会社の場合は簿価を把握することは問題ありませんが、個人が土地を購入した場合でも、きちんと簿価を理解しておく必要があります。
そうすることで売却時に生じる利益を正しく計算することができます。
まとめ
公示価格、基準地価、そして路線価は、異なる目的で設定され、異なる行政機関によって公表されます。
これらの価格には関連性がありますが、それぞれ独自の情報を持っています。
公示価格は土地の時価を表しており、市町村が公表しています。
一方、基準地価は国が設定するもので、土地の区域ごとに公表されます。
そして、路線価は都道府県税関係の決定に利用されるため、主に都道府県が公表しています。
これらの価格は毎年更新されるため、土地を購入・売却または相続に関わる場合に注目することで、落ち着いて対応することができます。